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小うんちく その2

 紺屋の明後日、蕎麦屋の只今
 (こうやのあさって、そばやのただいま)
 紺屋(こうや・こんや)はその仕事が天候に左右されるため、仕事が遅れがち。客に催促された時にその場しのぎに「明後日には」という。蕎麦屋の出前の「はい只今」もその場しのぎ。という事で、あてにならない約束の譬え。
    <参考図書 『蕎麦の事典』 新島繁編著 柴田書店>
 
 「さくら」蕎麦屋の通し用語
  「通し」「通す」とは客から注文を受けたものが、調理場にその注文を伝える事です。
 「さくら」は綺麗ですね。だからでしょうか「きれい」という事から「上品」に転じて「蕎麦の量が少ない」になったのかな?とにかく「量を少なめに」という事です。
 たとえば客から「蕎麦は少なめに」と注文された時、「蒸籠一枚、台はさくら」と通します。
 くれぐれも「この店のもり蕎麦は『さくら』だね。」などと使わないように。蕎麦屋の通し用語なのですから。ひんしゅくものですよ。客の使う言葉ではありません。
    <参考図書 『蕎麦なぜなぜ草紙』 藤村和夫著 ハート出版>
 
 蕎麦湯
 蕎麦湯を飲むようになったのは1700年代中ごろからだそうです。蕎麦湯は蕎麦をゆでた時のゆで汁が濃くなりすぎた時に、本来は捨てていたものです。しかし、そこには蕎麦の蛋白質や澱粉が溶けていて、結構栄養があるようです。それを蕎麦を食べ終わった後の蕎麦汁に注いで飲みますね。
 蕎麦湯は栄養の面だけではなく、他にも効用があるようです。それは、蕎麦汁を蕎麦湯で薄めて飲むと、その蕎麦汁の良し悪しがよくわかるのだそうです。正直に蕎麦汁が薄くなったように感じるのがいいそうです。中には甘いだけになってしまう汁や何も味がしなくなるものもあるそうで、それらはだめな蕎麦汁という事のようです。
 はたして、私にそれが判別できるでしょうか。
    <参考図書 『蕎麦なぜなぜ草紙』 藤村和夫著 ハート出版>

 湯桶
 湯桶とは蕎麦湯を入れてくるあの入れ物です。基本的には四角い漆塗りの木の入れ物ですね。では、蕎麦湯はなぜあんなに大きくがっちりした四角い入れ物に入ってくるのでしょう。
 今でこそ、何時注文しても蕎麦湯は出てきますが、その昔は蕎麦のゆで湯が濃くなりすぎた時に、その湯を取り換えるのですが、その時に蕎麦湯が大量にできます。それをあの湯桶に入れて出したのだそうです。ですから、何時でも出せるというものではなく、ほっておくとすぐに冷めてしまいます。だからあんなに厚手のがっちりした大きな入れ物に入れておいたのだそうです。保温のためです。
 ではなぜ湯桶は四角いのか。丸い入れ物は木を曲げて作り、その時に必ず接着剤が必要です。その接着剤が高い温度に弱いのだそうです。四角なら、ちゃんと作れば、接着剤なしでも水漏れはしません。
    <参考図書 『蕎麦なぜなぜ草紙』 藤村和夫著 ハート出版>